新築の間取り打ち合わせでは削られがちなのに、住み始めると真っ先に欲しくなるのが「収納の棚」です。パントリーやクローゼットが「ただの空間」のまま引き渡され、床に物を直置きしている——そんな声は少なくありません。ハウスメーカーで棚を追加すると想定以上の金額になり、あきらめた方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、可動棚や造作収納は入居前後の後付けが十分可能で、外注のオプション工事として頼むとハウスメーカー価格より費用を抑えられるケースが多くあります。ただし壁の下地の位置によって施工方法が変わるため、依頼先選びと事前確認がポイントになります。
この記事では、可動棚・造作収納の場所別費用相場、下地の注意点、依頼先の選び方を解説します。
可動棚と造作棚の違い
まず、後付けできる棚の種類を整理します。
- 可動棚(棚柱式):壁にレール(棚柱)を取り付け、棚板の高さを自由に変えられる方式です。収納する物の変化に対応しやすく、後付け収納の主流です。
- 固定棚:高さ固定で取り付ける棚です。構造がシンプルなぶん安価で、重い物にも強い傾向があります。
- 造作収納:カウンターや扉付きの収納を大工工事で作り付けるものです。デザインの自由度が高い一方、費用は既製品より高くなります。
- 既製ユニットの取り付け:メーカーの収納ユニットを壁に固定する方式で、見た目と費用のバランス型です。
場所別・後付け費用の目安
可動棚を業者に依頼した場合の、材料費+工事費の目安です。
- パントリー(幅90cm・棚板4〜5枚):約2〜5万円が目安です。奥行きや棚板の枚数で変動します。
- クローゼット内の枕棚+ハンガーパイプ:約2〜4万円が目安です。
- 洗面所のリネン棚:約1.5〜3万円が目安です。洗濯機上のスペース活用に人気があります。
- 玄関・シューズクローク:約2〜5万円が目安です。棚板を増やすと1枚あたり数千円程度加算されます。
- リビングの壁面収納(造作):大工+建具工事となり、約10〜30万円以上と幅があります。
- ハウスメーカー経由との比較:同じ内容でも2〜3割高くなる傾向が指摘されており、外注との相見積もりで差を確認するのがおすすめです。
後付けで注意したい「下地」の話
棚の後付けで最も重要なのが、壁の中の下地(補強材)です。
- 石こうボードだけでは棚は持たない:一般的な内壁は石こうボードで、ボードだけにビスを打っても重さに耐えられません。柱・間柱・合板下地のある位置に固定する必要があります。
- 新築時に下地位置を確認:引き渡し時に図面や下地センサーで下地位置を把握しておくと、後付け工事がスムーズです。棚を想定する壁に下地補強を入れておくよう、建築中に依頼しておくのが理想です。
- 下地がない場合の対処:ボードアンカーで軽い棚に留める、下地のある位置まで棚柱を寄せる、壁一面に合板を張ってから棚を付けるなどの方法があります。業者なら壁内を確認して最適な固定方法を選んでくれます。
- 賃貸・建売でも対応可能:建売住宅でも下地を探して施工できるため、あきらめる必要はありません。
依頼先の選び方
可動棚・造作収納の依頼先には次の選択肢があります。
- ハウスメーカーのオプション:仕上がりの統一感は高いものの、価格は高めになりがちです。
- 外注のオプション工事業者:網戸・物干し・コーティングなど入居前工事とまとめて頼め、中間マージンが少ないぶん費用を抑えやすい選択肢です。
- 地元の大工・工務店:造作収納など自由度の高い工事に向いています。
- 比較のポイント:棚柱・棚板のメーカーとグレード、下地処理の方法、棚板追加の単価、保証の有無を見積もりでそろえて比較しましょう。
入居前オプション工事を外注する際の流れや費用感は、住宅オプション工事の解説ページで詳しく解説されています。新築オプションの費用感の例としては新築戸建ての内窓オプションの解説ページも参考になります。
失敗しない棚計画のコツは「収納する物から決める」
棚の後付けでよくある後悔が、「棚を付けたのに収納したい物のサイズと合わなかった」というものです。これを防ぐには、先に収納したい物をリストアップし、サイズを測ってから棚の奥行きと間隔を決めるのが確実です。たとえばパントリーなら、2Lペットボトルの箱や米袋を置くなら奥行き40cm前後、調味料やレトルト中心なら奥行き20〜30cmの浅い棚の方が奥の物が埋もれず使いやすくなります。洗面所のリネン棚は、バスタオルを畳んだサイズ(約35cm角)を基準にすると計画しやすくなります。可動棚であっても、棚柱の位置と奥行きは後から変えられないため、最初の設計が肝心です。業者に依頼する際は「何を収納したいか」を伝えると、経験に基づいた棚割りの提案をしてもらえます。入居前に引っ越し荷物の量を把握しているタイミングだからこそ、実際の持ち物に合わせた無駄のない収納計画が立てられます。
まとめ
新築の可動棚・造作収納は後付けで十分対応でき、パントリーや洗面所の可動棚なら1か所あたり約1.5〜5万円が目安です。ポイントは壁の下地位置の確認と、ハウスメーカー・外注の相見積もりです。入居前の家具がない時期に施工すると作業もスムーズなので、引き渡し日が決まったら早めに計画してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. DIYで可動棚を付けるのと業者依頼、どちらがよいですか?
下地の位置が分かっていて工具に慣れていればDIYも可能です。ただし下地を外すと棚の落下や壁の破損につながるため、重い物を載せる棚や広い面の棚は業者依頼が安心とされています。
Q2. 棚板の追加は後からできますか?
可動棚(棚柱式)なら棚板とブラケットを追加するだけで増やせます。将来の追加を見越して、棚柱を長めに取り付けておく方法もあります。
Q3. 引き渡し前に工事してもらうことはできますか?
引き渡し前の建物は施工会社の管理下にあるため、原則として外部業者は工事できません。外注する場合は引き渡し後〜入居前のタイミングが一般的です。
Q4. 壁紙を傷つけずに棚を付けられますか?
ビス固定のため壁に穴は開きますが、棚を使い続ける限り目立ちません。将来外す可能性がある場合は、穴の補修方法や位置も業者と相談しておくとよいでしょう。
※制度・価格は実行日時点の情報です。最新情報は公式情報をご確認ください。
※本記事の費用相場・補助金などの情報は、建材・住設卸のSYAA(エスワイエーエー)が公開している解説ページを参考にしています。

